みんなの、お楽しみの日
「夜間飛行」 の章
リミットが、決まってしまうと、
時間の流れが、早く感じられるもの
それは、待ち望んで無い場合においても言える
愛美ちゃんは、その小さな身体で、
生きていられる、残り少ない時間を
只、静かに過ごしていた
それは、今までと同じで
彼女は、この短い人生のほとんどを
こうして、過ごして来たのだ
かなしめるような、余りに、ささやかで
か弱過ぎる、足跡
ついに、残り3日を迎え
死神からの、正確な、時間と場所のお告げも有り
愛美ちゃんも、その覚悟を決めたのでした
一日が経つ
そして、また一日が・・・・・
明日、愛美は死んでしまいます
死ぬって、どうなるの?
死ぬって、居なく成っちゃうんだよね
死んで、その後、どんな所に行くんだろう
愛美が死ぬのは「運命」なんだって、
「運命」って変える事、出来ないの?
何をやっても、無駄なの?
愛美は、どんな悪い事をして、神様を怒らせてしまったんだろう
神様、ごめんなさい
愛美は
愛美は・・・・・
ガチャ!!!
突然、扉の開く音が・・・
愛美ちゃんが、その入り口に目を向けると
そこには、パパが、立っていました
「愛美、まだ、起きてたのか?」
「えへへっ、なんか眠れなくて」
「ふう~ん」
「どおしたの?パパ、こんな遅くに」
「パパは毎日、この時間に、愛美の顏、見に来てるんだよ」
「愛美は何時も、眠ってしまっているから、気付いて無いんだろうけどね」
「うそっーそうなの」
「ああ、そうだよ」
「毎日なんて、悪いよ」
「悪くなんかないさ」
「パパは愛美の眠ってる顏、見ると、元気に成れるのさ」
「愛美も早く、病気を治して、元気に成ってほしい」
「治ったら、いっぱい、色んなトコ行こうな」
大きなパパの腕に愛美ちゃんは抱き付きます
もう一方の手で、優しく頭を撫でてくれるパパ
パパが、毎日、愛美ちゃんの寝ているトコに来ていたなんて、気付いていませんでした
優しいパパ、何時もは無口な
何時もママに言い包められる、パパ
明日、パパとも、お別れです
「パパ」
「パパ、大好き」
「うん、判ってるよ、」
「もう、寝なさい」
「はい」
パパに何か、言わなきゃいけないのに
そうだ
ありがとうって
愛美のパパて居てくれて
ありがとうって
言わなきゃいけないのに
パパは朝早く仕事に行っちゃう
パパの帰ってくる頃には
愛美、もう、居なくなってるのに・・・・・
愛美ちゃんはどおしても、
パパにそれが、言い出せませんでした
それが
最期のお別れの言葉と成ってしまうからです
パパは眠りに就いた娘を確認すると
お布団を整えて、
灯りを消して
部屋を、後にしました
乙女愛美 7歳
小学2年生
XX月XX日 PM7:09より
最期の発作に見回れる
同月日 PM7:43 意識を失い、仮死状態に
8:01 死亡
死神が告げた愛美ちゃんの最期予定です
朝
最後の朝
なんの変哲も無い
小鳥達の囀りの中
新聞配達のオートバイの行き交うエンジン音
車が走り出し
やがて
中学生のお兄さんお姉さんの声
小学生のみんなの声が加わる
クラスメイトが
「おはよう」をくれる
愛美ちゃんにも
お友達の「おはよう」は、届いていたけど
それに答える事が、出来なかった
「みんな、さようなら」
「みんな、ごめんね」
・・・・・・・・・・・
空の雲が幾つも通り過ぎていった
大きいのも
小さいのも
この空の感じなら
明日は、大丈夫のようです
死神が
約束を、きちんと守ってくれるようです
雲達は、留まる事も無く
次々に流れて
行き過ぎていきます
太陽も
その、角度を、どんどん傾けて
一日が、過ぎて行きます
やがて
傾きが、極限まで達すると
この画面から
姿を消して行きます
空が、吠えているみたい
雲に、ピンク色の炎が、引火して
対する、反対側の空は、
群青色に輝き
金星が、右手側に現われる
眠っていた、他の星達も
瞬きをし始める
ママが、夕ご飯を、運んで来てくれました
「はい、召し上がれ」
「ママ、食べさせて」
「まぁ~またまた、甘えんぼ愛美ちゃんの登場?」
「仕方ないなぁ」
「はい、あ~んして」
「おいしいィ?」
「うん」
「は~い、あ~ん」
ママの美味しいお料理でしたが
全部は、食べられませんでした
「うん、無理しなくてもいいよ」
「ねぇ、頑張って食べたじゃない」
「愛美は、本当にいい子よ」
「さてと、お片づけ」
ママは愛美ちゃんの食べ切れなかった夕ご飯を
片付けようと立ち上がって
お膳を持って部屋を出ようとした時
「ママぁー!!!」
「わぁー危ない、どうしたの?」
突然ママの背中に、抱きつく愛美ちゃん
持っていたお膳を落としそうに成りました
「ママ!!!」
「ママ!!!」
「愛美ねぇ」
「愛美、ママの子供に生まれて、よかった」
「ママも愛美ちゃんが、子供でよかった」
「ママの子供に生まれて来てくれて、ありがとう」
「でもほら、離して、ママ、落としちゃうわよ」
ママが部屋を後にすると
部屋の中が
静かより静か
音が、凡て消えてしまったかのように
やがて
愛美ちゃんに、激しい胸の痛みが、襲い掛かる
いっいいいっいたぁーーーあああいーーっ
うううっうっーーーん-うううぅっーーーっ
よく頑張ったな
今、楽にしてやるよ
死神が、
愛美ちゃんの首に
オレンジ色に輝く輪っかを、掛けます
その瞬間、
愛美ちゃんの魂は、スゥーと身体から抜け出ました
「愛美、死んじゃったの」
「まだ、生きてるよ」
「このまんまじゃ、つれェーだろ」
「あっ、愛美が居る」
「あたしが2人に成ってる」
「幽体離脱ってやつだ」
「まだ、死んだ訳じゃねぇー」
「おい、そんな事よか、」
「まだ、予定時間まで、大分あるから」
「外の世界見たくねぇーか」
「見たい」
「見れるの?」
「お安い御用だぜィ」
「行くぜ!!!!!}
「あ~ら、よっと」
死神は、愛美ちゃんの腰にもう一つのオレンジ色の輪っかを結ぶと
自分に繋ぎ、愛美ちゃんの左手を握ると
すっーと上に飛び出しました
すると、
天井も屋根もすり抜けて
夜空に、ふわ~っと浮かび上がりました
「すっすっすっごぉぉーーーーーーい」
「愛美、空、飛んでるぅーーー」
「ヒィュウーイィー」
「夜間飛行」 の章
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