1つ目のお願い」  の章





愛美ちゃん、今日は病院に行く日だからね、
今日はなんと!ジャーン、パパが車で送ってくれるってよ
めずらしぃーね、雨、降るんじゃないかしら~


何だよ、その言い方、トゲ有る

だってそうじゃない、ねぇ愛美ちゃん
パパはいっつもお仕事ばっかり
可愛い愛美ちゃんとお仕事、どっちが大事なんでしょーねぇー
お仕事の方・・・


いい加減にしろ!!!

何、大きな声出してのよ、本当の事言われて、逆ギレ?
こっちが、いい加減にして貰いたいわよ
だいたいあなたはねぇ~・・・

やめて!!!
パパもママも、愛美の事で喧嘩しないで




やれやれ、
朝から大もめです
なんとか病院へ向う愛美ちゃん一家です



パパさんの名誉の為に付け足して置きます
愛美ちゃんの治療費と言うのも、
この家族にとって莫大なものと成っています
彼なりに、必死にその治療費を捻出するべく
他人の3倍、4倍、頑張って居るのでした

と、
ママもその事は理解しているものの
なかなか、よろしく行かない愛美ちゃんの状態に
つい、ヒステリックに成ってしまうのでしょう


だから言ってんだろう
こいつが、くたばればよぉー、
何もかも、丸く収まんだよぉ
神の決断なんだ

運命」なんだよぉ」







「お
い!!ちょっと」







「俺様にも喋らせろよぉ」








「この野郎!!!」


















病院では何時もの検査が行われました
もう何度も繰り返されているものです
愛美ちゃんは思うのです
これらは、全て無駄なのにって
愛美ちゃん以外の人間が、まだその事には、気付いていません
愛美ちゃんはお人形さんのように
看護士さんや検査をしてくれる先生の為すが儘になっていました
まったく表情も無く、抜け殻のように



検査終わると
両親が担当の医師に呼び出されました
愛美ちゃんは、壁際に在る椅子に木偶のように力無く凭れ掛かって居ました











今すぐにでも、入院をお勧めしたい状況です、只、当院のベットの空きが在りません
調整はしますが、もうしばらくお待ち頂く事に成ります
何が起きてもおかしくない状態です、お心積りはしておいて下さい
私共も、全力を尽くしますので、




ママは顏を両手で覆い込み上げて来るものを停められませんでした
パパは身動き一つせず、一点を見つめ続けていました









パパが一人愛美ちゃんの所に戻ってきました









ママはトイレに居ました
鏡の前で、そこに映る自分に問い掛けます
しかし、そこに居る自分は、只、泣きじゃくるだけで
問い掛けに答えてはくれません
ママは思います、
この私の命を愛美にあげて下さい、
神様、どうか、私の願いを聞いて下さい



オイオイオイオイオイ!!!!!
余計ぇーな事、考えんなよ、
子供ならまた、創りゃーいいじゃねぇーか
俺様にはわかんねぇーな
こいつ、
本気で、思ってるぜ
かんべんしてくれ
仕事が増えんだよ
人間は愚かだねぇ



















しばらくして
3人は無言で帰宅しました





音はしているのに、静かな一日です
消えて無くなりそうな
穏やかな時の流れ

蠢く世界と
切り離されてしまったかのような

愛美ちゃんは眠っては居ませんでした
ベットに横たわって
自分の呼吸の音を聞いていました
この呼吸が、もう直ぐ止まってしまう
安定してとどまる事の無い鼓動
信じられない気持ちです

愛美、なんで産まれて来たんだろう?
愛美、なんの為に死ぬんだろう?

瞳いっぱいに溜まった泪は、やがて
その両端を耐え切れず滴り落ちた
その小さな流れは暖かい感触を残し
いつまでも続いたのでした、









「あ~~~み~~~ちゃん!!」

玄関で子供の声します
どうやら、クラスメイト達がお見舞いに来てくれたようです

静寂を打ち破って
揚々と力溢れる命達です

愛美ちゃんは、慌てて泪拭いました


愛美ちゃん、みんな、来てくれたよぉ~
ママの明るい声が戻りました
ぞろぞろと、部屋に通されるクラスメイト達


あ~みぃ
と親友の由美ちゃんが駆け寄り、愛美ちゃんの手をぎゅうと握ります

「元気そーじゃん」
「ホント、ホント」
「ねぇ今度、何時、学校来れるの?」
「うんうん、何時、何時?」

「ごめん、まだ無理なんだぁ~」

「こんだけ、元気なら、大丈夫だよ」
「バーカ、あんまり無理させちゃ駄目なんだぞぉ~」
「あっ、じゃーさぁ俺、車イス押してあげる」
「ああー、それ、俺がやる~」
「それは、親友の由美の仕事ですから~」
「なんだよぉ~俺の方が力、つえーし」
「まあまあ、順番にみんなで、やればいいーじゃん」
「でたぁ~優等生ィ~」
「何だよ


「みんな、喧嘩しないで、また、その時、お願いするから」

「そーだなぁ」
「そーそー」



「そーいやぁ~さぁ愛美ちゃん遠足、来れるぅ~?」
「XX日、遠足なんだよ」

「え
えっ!!」




愛美ちゃんが、死神に告げられた次の日でした
その日、もう愛美ちゃんは、この世には居ません



「ごめん、ちょっと、無理っぽい」
「すぐまた、入院なんだぁ~」

「ええええっー」
「またっー」
「そうなんだぁ~」

「おおっ俺、おみやげ、買ってくる」
「あああっ、おーれも」
「お金持ってっちゃいけない事に成ってるよぉ」
「かてぇー事ゆーなよ、優等生」
「そーだそーた゜アミっちの為たぞぉー」


「みんな、いいよぉ~無理しなくても」

「無理なんかじゃねぇーよ」
「そうだよ、俺達、クラスメートじゃん」
「おい、優等生、お前、先生にチクっんなよぉ」
「チクってみろ、お前が、愛美ちゃんの事好きなの、ばらすぞぉー」
「ばっばっばっ馬鹿」
「あっ!!!」
「ヒューーヒューーっ」

「あああ~愛美も優等生も顏、まっかっかぁ~」
「ははははっははははっ!!!!!」

















しばらく、忘れ掛けていた微笑を、みんなが、届に来てくれました
少しだけ
いいえ、いっぱい、元気を貰った愛美ちゃんでした













死神さ~ん」













死神さ~ん」



「あいよ!!!」
「どうした、なんか、よぉーか」
「あああ、たまんねぇ、ああいう、活き活きした連中は苦手だぁ~」


「天気、判る?」


「何の?」


「遠足の日」


「知って、どうすんだよ」


「判んないの、死神のくせに」


「いや、判るけど、・・・って、 くせにって、なんだよ」


「判るなら、教えてよ、知りたいの」


「ヘイヘイ、」
「えっーと、ああ」
「ぶぶぅー残念だなぁ雨だぜ、朝からずっとだ」
「延期だな」


「当たるの?」


「ばっ馬鹿野郎っ、天気予報じゃねぇんだよ」



「願い事、1つ目、」
「晴れにして」


「はあああああああああああああああああああっ?」


「だから天気を晴れにして」


「ぶぅわぁかぁやろー」
「そん時は、お前死んでんだぞ」
「お前は、行けないの」
「たとえ天気が晴れ様が・・・」

「出来ないの?出来るの?どっち」

「いや、そりゃあ出来るけど、」













「いいんだな、本当に」

「うん」

「しょうがねェ、よし、判った」













愛美ちゃんの1つ目のお願い
XX日の天気を雨から晴れにする
死神は、ぶつぶつ言いながら
了解しました
みんな、良かったね
楽しみにしている日
晴れますよ



















1つ目のお願い」  の章